Amazon RedshiftのVACUUMが同時実行可能に! 運用負荷を大幅に削減するアップデート解説

こんにちは。
今回の記事は、Amazon Redshiftをお使いの方にとって、良いお知らせかもしれません。

2025年6月4日、AWSはAmazon RedshiftのVACUUM操作の同時実行数を増加させるという、運用者にとって非常に嬉しいアップデートを発表しました。

Amazon Redshift now supports increased concurrency for vacuum operations

これまでVACUUMの実行時間に頭を悩ませていた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
このアップデートにより、Redshiftクラスターのメンテナンスがより効率的かつ高速になり、パフォーマンスの維持がこれまで以上に容易になります。

本記事では、この新機能の概要と、それによってもたらされるメリットについて詳しく解説します。


これまでの課題:VACUUMのキューイング問題

Amazon Redshiftにおいて、VACUUMはクラスターのパフォーマンスを最適に保つために不可欠なメンテナンス操作です。
主に以下の2つの役割を担っています。

  1. 領域の再利用: DELETEUPDATEによって不要になった領域を物理的に解放します。
  2. ソート: テーブルのソートキー (SORTKEY) に基づいてデータを並べ替え、クエリのパフォーマンスを向上させます。

しかし、従来のRedshiftでは、一度に実行できるVACUUM操作の数には制限があり、複数のVACUUMコマンドを発行すると、多くはキューに入れられ、先行する処理が終わるまで待機する必要がありました。

特に、多数のテーブルを管理する大規模なデータウェアハウス環境では、以下のような課題がありました。

  • メンテナンス時間の長時間化: すべてのテーブルのVACUUMが完了するまでに時間がかかり、夜間や週末の限られたメンテナンス時間内に収まらない懸念があった。
  • 運用管理の複雑化: どのテーブルをどの順番でVACUUMするか、優先順位を考慮した複雑な運用スクリプトが必要だった。
  • パフォーマンスへの影響: VACUUMが間に合わず、ソートされていないデータや削除済み領域が増えることで、クエリのパフォーマンスが低下することがあった。

何が変わったのか? VACUUMの同時実行が可能に

今回のアップデートにより、Redshiftは複数のVACUUMコマンドを同時に実行できるようになりました。

これにより、これまで一つずつ順番に処理されていたVACUUMジョブが並列で実行されるため、キューでの待ち時間が大幅に短縮されます。
結果として、クラスター全体で必要なVACUUM処理の総時間が劇的に短くなることが期待できます。

この機能は特別な設定を必要とせず、全てのリージョンに展開されるとのことです。


このアップデートがもたらす3つの大きなメリット

1. 運用効率の大幅な向上

複数のVACUUMが同時に走ることで、メンテナンスウィンドウを大幅に短縮できます。
これまで数時間かかっていた一連のVACUUM処理が、数十分で完了する可能性もあります。
これにより、運用チームの負担が軽減され、より重要なタスクに集中できるようになります。

2. クエリパフォーマンスの安定化

VACUUMが迅速に完了することで、テーブルは常にソートされ、不要な領域が解放された最適な状態に保たれやすくなります。
したがって、クエリパフォーマンスの劣化を防ぎ、ユーザーに対して安定した分析環境を提供し続けることができます。

3. シンプルな運用フロー

複雑な優先順位付けや実行スケジューリングを考慮せずとも、必要なテーブルに対してVACUUMコマンドを発行するだけで、Redshiftが効率的に並列処理してくれるようになります。
メンテナンス用のスクリプトやワークフローを大幅に簡素化できるのは大きなメリットですね。


まとめ

今回のAmazon RedshiftのVACUUM同時実行機能は、地味ながらも非常にインパクトの大きい、実践的なアップデートと言えるでしょう。

日々のデータ更新で発生するテーブルの断片化を、より迅速かつ効率的に解消できるようになりました。
Redshift管理者は運用負荷を神経を割く割合を減らしつつ、高いパフォーマンスを引き出すことが可能になります。

私自身も業務でRedshiftを含むデータウェアハウス環境の運用に携わる部分があります。
今後の運用効率化に向けて、さっそく提案の準備を始めたいと目論んでいます。

継続的な改善が続くAmazon Redshiftから、今後も目が離せません。

Last modified: 2025-06-06

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