どうも、クラ本の黒田です。
皆さん、大変お久しぶりです。
これまでずっとAWS案件でしたが、今年から、Azure環境でのシステム運用案件に参画させていただき、大変勉強になりましたので、
今回は、Azure Monitorのアラート機能について、アウトプットしていきたいと思います。
1. はじめに
背景
Azure Monitorのアラート機能は、システムの健全性を監視する上で重要な役割を果たしています。提供された画像から、具体的なアラート処理ルールの設定方法と、特に土日祝日における効果的なアラート制御の実装方法について、詳細に解説していきます。
Azure Monitorによるシステム監視は、多くの組織にとって不可欠な運用基盤となっています。しかし、24時間365日のアラート監視は、以下の課題を引き起こす可能性があります:
- 運用チームの疲弊
- 重要アラートの見落としリスク
- 不要なコストの発生
- インシデント対応の質の低下
本ブログの目的
土日祝日のアラート通知を適切に制御し、効率的な運用体制を構築するための包括的なガイドを提供します。単なる設定手順だけでなく、エンタープライズレベルでの運用最適化までをカバーします。
2. アラート処理ルールの基礎知識
2.1 概念と特徴
アラート処理ルールは以下の特徴を持つ強力な制御機能です:
- スコープベースの柔軟な制御
- 時間帯による細かな通知管理
- アクショングループとの連携
- 条件に基づく動的な振り分け
2.2 アーキテクチャ概要
Azure Monitor のアラート処理は、以下の流れで実行されます。
A[監視対象リソース] --> B{Azure Monitor メトリック / ログ}
B --> C{アラートルール}
C --> D{アラート発生}
D --> E{アラート処理ルール}
E -- 条件一致 --> F[抑制]
E -- 条件不一致 --> G[通知]
F --> H[アクティビティログ]
G --> I[アクショングループ]
I --> J[通知チャネル (メール、SMS、Teams など)]
- 監視対象リソース: Azure 上の仮想マシン、Web アプリ、データベースなど、監視対象となるリソースです。
- Azure Monitor メトリック / ログ: リソースから収集されたメトリックやログデータです。
- アラートルール: メトリックやログを監視し、特定の条件を満たした場合にアラートを発生させるルールです。
- アラート発生: アラートルールで定義された条件を満たすと、アラートが発生します。
- アラート処理ルール: 発生したアラートに対して、通知を抑制するか、通知するかを決定するルールです。土日祝日の抑制はこのルールで設定します。
- 抑制: アラート処理ルールの条件に一致した場合、アラート通知は抑制されます。
- 通知: アラート処理ルールの条件に一致しない場合、アラート通知が実行されます。
- アクティビティログ: 抑制されたアラートは、アクティビティログに記録されます。
- アクショングループ: アラート通知を実行するための設定をまとめたものです。通知先、エスカレーションパスなどを定義します。
- 通知チャネル: アラート通知を送信するチャネルです。メール、SMS、Teams など、様々なチャネルが利用できます。
3. アラートの基本構成
Azure Monitorのダッシュボードでは、アラートの全体像を確認することができます。ここでは以下の重要な指標が表示されています:
- アラート合計数:90件
- 重大度別の内訳:
- 重大:0件
- エラー:0件
- 警告:0件
- 情報提供:90件
- 詳細:0件
この情報から、現在のシステムは安定した状態にあり、主に情報提供レベルのアラートが発生していることがわかります。
4. アラート処理ルールの設定手順
4.1. スコープの設定
アラート処理ルールの作成では、まずスコープを設定します。スコープでは:
- 対象リソースの選択
- フィルターの適用条件の設定
が可能です。これにより、特定のリソースやリソースグループに対してのみルールを適用できます。
4.2. ルールの基本設定
ルールの設定では、以下の2つの重要なオプションがあります:
- 通知を表示しない:アラートは完全に抑制され、アクショングループへの通知は発生しません
- アクショングループの適用:アラートが発生した際に、定義済みの通知とアクションが実行されます
4.3. スケジュール設定
スケジュールの設定では、3つの適用パターンが選択可能です:
- 常に行う:24時間365日常にルールを適用
- 特定時刻:指定した時間帯のみルールを適用
- 定期的:週次のパターンでルールを適用
土日のアラート制御では、「定期的」を選択し、以下の設定を行います:
- 曜日:土曜日と日曜日にチェック
- 時間:終日(0:00-0:00)にチェック
- タイムゾーン:(UTC+09:00) 大阪、札幌、東京を選択
4.4. 祝日の設定
祝日の設定では:
- 特定時刻を選択
- 開始日時:2025/01/13 0:00
- 終了日時:2025/01/14 0:00
- タイムゾーン:(UTC+09:00) 大阪、札幌、東京
を設定することで、祝日期間中のアラート制御が可能になります。
4.5. 詳細設定とルールの有効化
最後の詳細設定では:
- サブスクリプションの選択
- リソースグループの設定
- ルール名の設定(例:AlertProcessingRule)
- ルールの説明の追加
- 作成時にルールを有効にするかどうかの選択
を行います。
5. 実装のベストプラクティス
アラート処理ルールを効果的に運用するために、以下の点に注意を払うことをお勧めします:
5.1. 重要度に応じた制御
重大度の高いアラートは、土日祝日であっても通知を維持することを検討します。これは、システムの安定性と事業継続性の観点から重要です。
5.2. タイムゾーンの適切な設定
グローバルに展開されているシステムの場合、タイムゾーンの設定には特に注意を払う必要があります。
5.3. 段階的な実装
まずは特定のリソースグループで試験的に実装し、その効果を確認してから対象を広げていくアプローチを推奨します。
5.4. 定期的な見直し
設定したルールが適切に機能しているか、定期的なレビューと必要に応じた調整を行います。
まとめ
Azure Monitorのアラート処理ルールを適切に設定することで、土日祝日における運用負荷を大幅に軽減することができます。ただし、重要なアラートの見落としを防ぐため、慎重な設計と定期的な見直しが必要です。本記事で解説した設定手順とベストプラクティスを参考に、効果的なアラート運用体制の構築を目指せるように、ぜひ、自身の環境に合わせてカスタマイズして、より効果的な監視体制の構築にお役立てください。