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AWS User Guide to Financial Services Regulations & Guidelines in Singaporeの日本語概説

今回シンガポール拠点に関わることになり、シンガポールの規制とガイドラインについてキャッチアップする必要があったので、以下に備忘録としてまとめました。

私自身が理解している部分は要約できていますが、理解が浅い部分はそのまま翻訳になっています。ご了承ください。

また、構成はAWS User Guide to Financial Services Regulations & Guidelines in Singaporeの主要部分を踏襲しています。

wording

用語 説明
MAS (Manetary Authority in Singapore) シンガポール金融管理局
FI (Financial Institution) 金融機関
customers AWS利用顧客(AWSを利用してサービスを設計・開発・運用する顧客)。FIが含まれることもあるし、アウトソーシングされたプロパーやBPのことを指すこともある。ここではAWS利用顧客とします。
service provider FIに対してサービスを提供する者。AWSや、FIの委託先など。FIが自身で開発する場合はAWSのみ、FIがアウトソースする場合はAWSとアウトソース先がサービスプロバイダーに含まれる(もちろんAWSを利用しなければAWSはサービスプロバイダーには含まれません)。

■About this guide

ガイドの役割

参考ガイドライン

■Security of the cloud

AWSコンプライアンスプログラムは以下のアクションをベースに置いている。

●AWS compliance programs

AWSは業界固有の様々なワークロードにおける、認定と独立したサードパーティの証明書を取得している。以下はその中でもFIにとって重要なもの。名前と概要を記す。

●AWS Artifact

AWSサービスの一つ、AWS Artifactを利用すれば、2500以上のセキュリティ管理に関するレポートやその詳細を閲覧・ダウンロードできる。AWSのSOCなどを含め、PCIやMAS Technology Risk Management Workbookやその他様々な証明書が提供されている。

■AWS Regions

AWSのリージョンやAZの一般的な説明。

■MAS Guidelines on Outsourcing

●Assessment of service providers

以下はGoO section 5.4.3で言及された、クラウド利用などのアウトソーシング契約に係るdue diligence要件である。各項目に対して、AWSの責任内容や対応が書かれている。

●Cloud computing

MASはクラウドコンピューティングはアウトソーシングと近しく、従って起因するリスクも近しいものであるとしている。以下はクラウドサービスの利用に係るリスクの一部。ソースでは書くリスクに対してAWS Controlsが書かれており、AWSではそれぞれGuidelines on Outsourcingに対応していることが記載されていた(AWSリソースを適切に使えば要件を満たすことができるが、コンテンツについてはAWSの責任範囲から外れることが示唆されていた)。

●Outsourcing agreements

クラウドリソースの利用に係る、契約に関する用語と条件の明文化。少なくとも以下は明文化対象。

Enterprise Agreement with AWSというオプションがあり、Enterprise Agreementsに登録すれば、AWS利用顧客は自身の契約を最適な形に調整できる。シンガポールFI評価を手助けする導入ガイドも配布されている。詳しくはAWSの代表者に問い合わせる。

●Audit and inspection

Guidelines on OutsourcingはFIのアウトソーシング契約がFIの事業活動・管理を過剰に制限したりMASの監督の機能や目的の実行を妨げるべきでないとしている。

AWS利用顧客は、AWSを使った自身のコンテンツやサービスに対して所有権と制御を保持し、それらをAWSに移譲することはないとしている。AWS利用顧客は、環境設定やコンテンツのセキュリティ確保、その他利用するツールなどを制御する責務がある。

AWSがAWS利用顧客の設定を変更することはなく、ここはAWS利用顧客が責任を持つとしている。詳しくは次を参照:https://d1.awsstatic.com/whitepapers/compliance/Using_AWS_in_the_context_of_Singapore_Privacy_Considerations.pdf

また、GoOはFIに対し、サービスプロバイダーに対して行われたあらゆる監査レポートと結果にアクセスできるよう求めている。これは、アウトソーシング契約に係る、サービスプロバイダー又はその下請けの内部監査人(サービスプロバイダーの組織内の者)・外部監査人(組織の外部から雇われた監査人)、又はサービスプロバイダーやその下請けに任命されたエージェントによって作成されたもの。

AWSではAWS Service Organization Control (SOC) 1, 2, 3 reports, ISO27001, 27017, 27108 certifications, PCI DSS compliance reportsを含むAWS認定又レポートにより、AWS環境におけるセキュリティコントロールを検証・証明することができる。

■MAS Technology Risk Management Guidelines (MAS TRM Guidelines)

MAS TRM Guidelinesはリスク管理の原則とベストプラクティスの基準をFIに示している。

AWSは、AWSのセキュリティとコンプライアンス管理と、AWS Well-Architected Frameworkのベストプラクティスガイダンスを、MAS TRM Guidelinesの要件にマッピングしたワークブック(MAS TRM Guidelines Workbook)を作成している。

AWSガイドにはそれらの例が羅列されていた。

■Notice 655 on Cyber Hygiene

Notice 655 on Cyber Hygieneはシンガポールの全ての銀行に適用されている、管理者アカウントのセキュアな管理、セキュリティパッチの適用、ベースラインとなるセキュリティ基準の確立、ネットワークセキュリティデバイスのデプロイ、マルウェア対策の実装、ユーザー認証の強化に係るサイバーセキュリティ要件を定義したもの。

AWSは、AWSのセキュリティとコンプライアンス管理と、AWS Well-Architected Frameworkのベストプラクティスガイダンスを、Notice 655の要件にマッピングしたワークブック(AWS Workbook for MAS Notice 655 on Cyber Hygiene)を作成している。

AWSガイドにはそれらの例が羅列されていた。

■ABS Cloud Computing Implementation Guide 2.0

ABS (Associatoin of Banks in Singapore)は、クラウドアウトソーシング契約を締結している銀行に向けた実施ガイド(ABS Cloud Computing Implementation Guide 2.0)を作成している。

MAS Guidelines on OutsourcingとMAS Technology Risk Management Guidelinesは関連する規制当局によって発行され、幅広い種類の金融機関に対し指針を提供しているのに対し、AWS Cloud Computing Implementation銀行業界の団体から推奨される実践的な事項をまとめている。

●Key controls

こちらはTRMやNotice655と同様、例が羅列されている。

■Next steps

AWSはFIが各国家各組織でのクラウド適用の要件を満たせるよう、それぞれが現状を把握する必要があるとしている。
次のステップとして、AWSはAWS CAF (AWS Cloud Adoption Framework)の利用を勧めている。AWS CAFは組織がクラウドの適用のための効率的で効果的な計画を作成するのに役立つらしい。

また、そのほかの具体的な次のステップとして、以下がある。

役に立ちそうな英用語

用語 説明
in transit 転送中
at rest 保存中
due diligence デューデリジェンス(企業などに要求される当然に実施すべき注意義務および努力のこと:https://www.weblio.jp/content/Due+Diligence

さいごに

以前内部統制に関わっていた経験もあり、多少は馴染みがありましたが、やはり英語で法務や監査関連の資料を読むのは疲れます。恐らく業界では適切なコンテクストがあるのでしょうが、業界外部の人間だと用語が抽象的に感じて、具体がわからず想像力が働かないという事態が往々にして起こるように感じます。

これから学んで具体的に想像・言語化できるようになっていきたいです。

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