Red Hat Enterprise Linux環境を利用する際の注意点


この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので十分ご注意ください。

どうも、クラウド事業本部の黒田です。
7月からの案件はRed Hat Enterprise Linux環境となり、初心者向けの事前準備として注意点をまとめてみました。
ご参考頂けますと幸いでございます。

Red Hat Enterprise Linux利用の注意点 

ー 初心者向け ー

Red Hat Enterprise Linux(RHEL)は、企業環境で広く利用されている信頼性の高いLinuxディストリビューションです。初心者がRHEL環境を利用する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。
以下に、初心者向けのRHEL利用に関する注意点をまとめました。
ご参考頂けますと幸いでございます。

1. サポート契約の確認

RHELは商用ディストリビューションであり、サポート契約が必要です。ライセンス契約に基づき、正規のサブスクリプションを取得していることを確認してください。サポート契約により、セキュリティパッチやアップデート、専門家からのサポートを受けることができます。
RHELサポート契約の確認には、以下のコマンドを使用します。

subscription-manager status

このコマンドを実行するためには、root権限またはsudo権限が必要です。
このコマンドを実行すると、サブスクリプションのステータス情報が表示されます。正規のサブスクリプションが登録されている場合、"Overall Status"の欄に"Current"と表示されます。また、サブスクリプションに関する詳細情報も表示されます。

2. ドキュメンテーションの活用

RHELには豊富な公式ドキュメンテーションが提供されています。初心者向けのガイドやリファレンスマニュアルを活用し、RHELの基本的な操作や設定方法を学びましょう。また、問題発生時には公式ドキュメントを参照することで、解決策を見つけることができます。
RHELには、豊富な公式ドキュメンテーションが提供されています。以下に、公式ドキュメンテーションへのアクセス方法と主要なリソースを紹介します。

  1. Red Hat Customer Portal: Red Hatの顧客ポータルにアクセスすることで、公式のドキュメンテーションにアクセスできます。以下のURLにアクセスしてログインし、ドキュメンテーションセクションに移動します。

  2. Red Hat Documentation: 顧客ポータル内のドキュメンテーションセクションには、さまざまなトピックに関するドキュメントがあります。以下は主なドキュメントのカテゴリです。

    • Product Documentation: RHELや関連製品のドキュメントが含まれています。
    • Release Notes: 各バージョンのリリースノートが記載されています。
    • Installation Guide: RHELのインストール手順に関するガイドです。
    • Administration Guide: システム管理者向けの設定と管理に関するガイドです。
    • Security Guide: セキュリティに関連する設定とベストプラクティスについて説明されています。
  3. Red Hat Knowledgebase: 顧客ポータル内のKnowledgebaseでは、さまざまなトピックに関する技術的な質問と回答が提供されています。問題のトラブルシューティングや解決策の検索に役立ちます。

3. セキュリティの意識

RHELはセキュリティに重点を置いたディストリビューションです。
セキュリティアップデートやパッチの適用を定期的に行い、システムを最新の状態に保ちましょう。また、強固なパスワードポリシーやファイアウォールの設定など、セキュリティ対策にも留意してください。

RHELを利用する際のセキュリティに関する意識については以下のポイントに留意することが重要です。

  1. アップデートとパッチ適用: RHELはセキュリティアップデートとパッチが定期的に提供されます。システムを最新の状態に保つためには、これらのアップデートとパッチを適用することが重要です。定期的なアップデートの確認と実施を行いましょう。

  2. セキュリティポリシーの適用: RHELにはSELinux(Security-Enhanced Linux)が組み込まれており、アクセス制御ポリシーやセキュリティポリシーを適用することができます。適切なセキュリティポリシーを設定し、不正なアクセスや攻撃からシステムを保護しましょう。

  3. 強固なパスワードポリシー: ユーザーアカウントのパスワードは強固で予測されにくいものに設定することが重要です。パスワードポリシーを設定し、定期的なパスワードの変更を促すことで、不正アクセスからの保護を強化できます。

  4. ファイアウォールの設定: RHELにはファイアウォール機能が組み込まれており、不正なネットワークアクセスからの保護を提供します。必要に応じてファイアウォールを適切に設定し、不要なポートやサービスへのアクセスを制限しましょう。

  5. ログの監視と分析: RHELはさまざまなログを生成します。これらのログを監視し、異常なアクティビティやセキュリティイベントを検知するためのツールや手法を使用しましょう。ログの正確な解釈と分析は、セキュリティ上の問題を早期に発見し対処するために重要です。

  6. ユーザーの教育と意識向上: セキュリティは全ての利用者の責任です。ユーザーに対してセキュリティに関する教育や訓練を行い、セキュリティ意識を高めることが重要です。ソーシャルエンジニアリングやフィッシングなどの攻撃から身を守るためにも、利用者の教育は欠かせません。

4. パッケージ管理と依存関係

RHELでは、パッケージ管理システムとしてRPM(Red Hat Package Manager)が使用されています。パッケージ管理と依存関係の管理は、システムの安定性と効率的なソフトウェア管理のために重要です。以下にRHELのパッケージ管理と依存関係の基本について説明します。

  • パッケージのインストール: 新しいパッケージをインストールするには、yum installコマンドを使用します。例えば、yum install のようにパッケージ名を指定して実行します。このコマンドは指定したパッケージをダウンロードし、依存関係が解決された上でインストールします。

  • パッケージのアップグレード: インストール済みのパッケージをアップグレードするには、yum updateコマンドを使用します。このコマンドはシステム内の全てのパッケージを最新バージョンに更新します。

  • 依存関係の解決: パッケージをインストールする際、そのパッケージが依存する他のパッケージがある場合、依存関係を解決する必要があります。RPMは依存関係を自動的に解決します。インストールやアップグレード時に必要な依存関係が自動的にインストールされるため、手動で依存関係を解決する必要はありません。

  • 依存関係の確認: インストールされているパッケージの依存関係を確認するには、rpm -qR コマンドを使用します。このコマンドは指定したパッケージの依存関係を表示します。

  • リポジトリの管理: RHELはパッケージを提供するリポジトリを管理します。yum repolistコマンドを使用して利用可能なリポジトリの一覧を表示できます。リポジトリを追加・削除するには、yum-config-managerコマンドを使用します。

パッケージ管理システムと依存関係の解決により、RHELではシステムのパッケージ管理を効率的に行うことができます。適切なパッケージのインストールとアップグレードを行い、依存関係の解決に留意することで、システムの安定性とセキュリティを確保することができます。

5. SELinuxの理解

SELinux(Security-Enhanced Linux)は、RHELで使用される強力なセキュリティ機能です。SELinuxは、アクセス制御ポリシーに基づいてシステムリソースへのアクセスを制御し、権限の拡張とシステムの保護を提供します。以下にSELinuxの理解に役立つポイントを説明します。

  1. セキュリティコンテキスト: SELinuxでは、各ファイル、プロセス、ネットワークポートなどにセキュリティコンテキストと呼ばれるラベルが付与されます。セキュリティコンテキストには、ファイルの所有者、グループ、タイプ、ロールなどの情報が含まれます。これにより、アクセス制御がより細かく行われます。

  2. ポリシーのモード: SELinuxは3つの主要なポリシーモードで動作します。

    • Enforcing: SELinuxポリシーに基づいてアクセス制御を厳密に適用します。違反が検出されると、アクセスを拒否し、適切なログを生成します。
    • Permissive: SELinuxポリシーを監視し、違反を検出しますが、アクセスを許可します。違反のログが生成されますが、システムへの影響はありません。
    • Disabled: SELinuxが無効化され、セキュリティ機能は無効になります。
  3. ポリシーの管理: SELinuxのポリシーは、RHELに含まれるデフォルトのポリシーモジュールで提供されます。semoduleコマンドを使用してポリシーモジュールを管理できます。また、必要に応じてカスタムポリシーモジュールを作成することもできます。

  4. コンテキストの変更: ファイルやプロセスのセキュリティコンテキストを変更することで、アクセス制御の振る舞いをカスタマイズできます。chconコマンドを使用してコンテキストを変更することができます。

  5. ログの監視: SELinuxは、アクセス制御違反やポリシーブレイクに関するログを生成します。これらのログは、/var/log/audit/audit.logファイルに記録されます。ログの解析と監視により、セキュリティイベントを追跡できます。

6. システムのバックアップと復元

RHELシステムのバックアップと復元は、システムの可用性とデータの保護にとって重要な手順です。以下に、RHELシステムのバックアップと復元に関する基本的な手順を説明します。

1. ファイルレベルのバックアップと復元:

  • バックアップの作成: 重要なファイルやディレクトリのバックアップを作成します。一般的なバックアップツールとしては、rsyncやtarなどがあります。例えば、以下のコマンドを使用してディレクトリのバックアップを作成できます:

    tar -czvf backup.tar.gz /path/to/directory
  • バックアップの保存: バックアップファイルを安全な場所に保存します。外部ストレージ、ネットワーク共有、クラウドストレージなど、データを安全に保管できる場所を選択します。

  • 復元の手順: バックアップからシステムを復元する場合、バックアップファイルを適切な場所に配置し、必要に応じて解凍・展開します。復元手順はバックアップの作成方法に依存しますので、バックアップツールのドキュメントや手順に従って行います。

2. システムイメージのバックアップと復元:

  • システムイメージの作成: システム全体のバックアップを作成する場合、システムイメージツールを使用します。RHELでは、Clonezillaやddなどのツールが利用できます。例えば、以下のコマンドを使用してディスクのイメージを作成できます:

    dd if=/dev/sda of=system.img bs=4M
  • システムイメージの保存: システムイメージを安全な場所に保存します。外部ストレージやネットワーク共有など、信頼性の高いストレージメディアを使用します。

  • 復元の手順: システムイメージからシステムを復元する場合、イメージファイルを適切な場所に配置し、必要に応じて展開・復元します。復元手順は使用するツールによって異なりますので、ツールのドキュメントや手順に従って行います。

バックアップと復元の頻度や方法は、データの重要性やシステムの種類によって異なります。
定期的なバックアップスケジュールを作成し、バックアップの完全性を確認することも重要です。
また、バックアップと復元手順のテストも行い、問題が発生した場合に備えることをおすすめします。

7. まとめ

以上が初心者向けのRHEL利用の注意点をまとめました。
RHELは堅牢で信頼性の高いシステムですが、十分な理解と準備が必要です。
公式ドキュメンテーションやコミュニティのサポートを活用しながら、RHELの適切な利用方法を学んでいきましょう。

では、皆さん、良い週末を!

Last modified: 2023-07-01

Author