背景
クラウド環境が普及する中で、シングルサインオン(SSO)は、ユーザーが複数のアプリケーションやサービスに効率的かつ安全にアクセスするための重要な技術です。MicrosoftのAzure Active Directory(Azure AD)とAmazon Web Services(AWS)のIAM Identity Center(旧AWS SSO)は、それぞれ異なる特徴を持つSSOソリューションです。本記事では、両者の違いを比較し、それぞれの強みを解説します。
Azure AD SSOとは
Azure AD SSOは、Microsoftが提供するクラウドベースのID管理サービスで、ユーザーが一度の認証で複数のアプリケーションやサービスにアクセスできる仕組みを提供します。
主な特徴
- 対応プロトコル: SAML、OAuth、OpenID Connectなどの認証プロトコルをサポート。
- 統合性: Microsoft 365やAzureサービス、Salesforce、Google Workspaceなど、幅広いアプリケーションと統合可能。
- セキュリティ: 多要素認証(MFA)や条件付きアクセスを活用してセキュリティを強化。
- 利便性: ユーザーはAzureポータルや「My Apps」ポータルから簡単にアプリケーションにアクセス可能。
AWS SSO(IAM Identity Center)とは
AWS SSO(現在はIAM Identity Center)は、AWSが提供するSSOソリューションで、AWSアカウントやクラウドアプリケーションへのアクセスを一元管理します。
主な特徴
- 対応プロトコル: SAML 2.0をサポート。
- AWS Organizationsとの統合: 複数のAWSアカウントを一元管理し、アクセス権限を簡単に設定可能。
- ユーザーポータル: ーザーが割り当てられたAWSアカウントやアプリケーションにアクセスできる専用ポータルを提供。
- 外部IdPとの連携: Azure ADやOktaなどの外部アイデンティティプロバイダーと統合可能。
Azure AD SSOとAWS SSOの比較
選択のポイント
- Azure AD SSOは、Microsoft 365やAzureサービスを中心に利用している場合に最適です。特に、企業全体で統一されたID管理を行いたい場合に強力なツールとなります。
- AWS SSOは、AWS環境を中心に複数のアカウントやアプリケーションを管理する場合に適しています。AWS Organizationsとの統合により、アクセス管理が効率化されます。
まとめ
Azure AD SSOとAWS SSOは、それぞれ異なるクラウド環境に特化したSSOソリューションです。どちらを選ぶべきかは、利用するクラウドサービスやアプリケーションの種類、組織のニーズに依存します。両者を連携させることで、Azure ADのユーザー情報をAWS環境で活用することも可能です。
どちらのSSOソリューションも、セキュリティと利便性を向上させるための重要なツールです。自社の環境に最適な選択をするために、まずは試験的に導入してみるのも良いでしょう。
やってみる参考(AWS SSO)
AWS SSOを利用してAWS Managed Microsoft ADのユーザ情報でAWSアカウント(組織内)へのサインインを試してみました。