Oracle Database ライセンスの基本原理とAWS RDS For Oracle料金比較

どうも、クラ本部の黒田です。
今回はOracleデータベースをAWSに移行する際のライセンスについて、アウトプットしていきます。

■ はじめに

Oracle Databaseは、その強力な機能と広範な応用範囲で広く使用されているデータベース管理システムです。

しかし、そのライセンス体系は非常に複雑であり、適切なライセンスの選択と管理は企業の運用コストとコンプライアンスに大きな影響を与えます。

今回は実際のお客様のニーズに合わせて、Oracle Databaseのライセンス種類、原理原則、および各種ライセンスの比較について詳しく解説したいと思います。
実際のお客様にご提案する際にお役に立てると幸いです。

■ Oracle Databaseのライセンスに関する原理原則とは

1. ライセンスの種類:

  • Named User Plus (NUP) ライセンス: 特定のユーザー数またはデバイス数に基づくライセンス。主にユーザー数が少ない環境で有利。
  • Processor ライセンス: サーバー上のプロセッサ数に基づくライセンス。ユーザー数が多い、または不特定多数のユーザーが利用する環境に適している。

2. 最小ライセンス要件:

  • Oracleの各製品には最低限必要なライセンス数が定められており、これは製品ごとに異なる。

3. マルチコアプロセッサの扱い:

  • マルチコアプロセッサの場合、総コア数に対して特定の係数(Oracle Processor Core Factor Tableに基づく)を乗じてライセンス数を計算する。

4. ライセンスの合計とコンプライアンス:

  • インストールされたOracle製品のライセンス総数は、使用しているサーバー上の物理的なプロセッサやユーザー数に基づき合計される。
  • Oracleはライセンス遵守に関して厳格であり、不適切なライセンス使用は違反と見なされることがある。

5. サポートとメンテナンス:

  • ライセンス価格には通常、サポートとメンテナンス費用は含まれておらず、これらは別途契約する必要がある。
  • サポート契約には、技術サポート、製品アップデート、セキュリティパッチなどが含まれる。

6. ライセンスの透明性と柔軟性:

  • Oracleはバージョンやオペレーティングシステムによる価格差を設けず、シンプルで柔軟なライセンス体系を採用している。

7. BYOL(Bring Your Own License):

  • クラウド環境(例えばAWSやAzure)でOracleを使用する際に、既存のライセンスを持ち込むことが可能。

※ Oracle Databaseのライセンス体系は複雑であり、適切なライセンスの選択と管理は法的なコンプライアンスと経済的な観点からも重要です。
企業や組織は、自身のニーズに応じた正しいライセンスを選択し、Oracleのライセンスポリシーに遵守することが求められます。
また、Oracleのライセンスポリシーは変更されることがあるため、最新の情報を定期的に確認することをお勧めします。

– Oracle Databaseのライセンス種類ごとの比較

ライセンス種類 課金基準 適用条件や特徴
Processor CPU数に基づく – 使用ユーザー数が多い場合に適している
– Enterprise Edition: マルチコアCPUの場合は総コア数に係数を乗じた数が必要
– Standard Edition 2: 実搭載プロセッサ数が必要
Named User Plus 使用するユーザー数に基づく – ユーザー数が少ない場合に有利
– 特定の最小ユーザー数が必要

追加情報:

  • マルチコアCPU利用時のライセンスカウント:
  • Enterprise Editionでは、マルチコアプロセッサの場合、総コア数に係数を乗じた数(小数点以下端数切り上げ)が必要ライセンス数となります。
  • Standard Edition 2では、実搭載プロセッサ数が必要ライセンス数となります。
  • Oracle Database製品の価格:
  • Enterprise EditionとStandard Edition 2のライセンス価格が提供されていますが、具体的な価格は記載されていません。

■ システム更改時におけるOracle Databaseのライセンス戦略

1. 現行ライセンスの対応:

  • 新システムでの利用者数や利用形態は現行業務と同等と見込まれるため、現行ライセンスと同様のライセンス形態を選択することが推奨される。

2. Processor ライセンスの推奨:

  • ユーザー数のカウントが難しい外部向けサイトなどでは、Processorライセンスが適切。
  • 「業務と同等処理のアクセステスト」を行う場合も、ProcessorライセンスのTermライセンスを選択。

3. Named User Plus ライセンスの選択肢:

  • 新システムの利用期間内で利用者数が特定できる場合は、Named User Plusライセンスも選択可能。

ライセンス形態と利用シナリオ

  • 利用者数が不特定で、システム更改後も大量のユーザーによるアクセスが予想される場合は、Processorライセンスが適しています。これはシステムテストにおいても同様です。
  • 利用者数が限られている、または事前に明確に定義できる場合、Named User Plusライセンスがコスト効率の良い選択になる可能性があります。

期間指定ライセンス(Termライセンス)の利用

  • システム更改の期間が明確であり、一時的なニーズに対応するためには、Termライセンスがコスト面で有利です。
  • Termライセンスは保守費用も必要ですが、期間終了後は更新の必要がないため、永久使用権ライセンスと比較して初期コストを抑えられます。

システム更改時のライセンス選択は、現行の業務要件、将来的な利用予測、コスト効率、および運用の柔軟性を総合的に考慮し決定する必要があります。企業はライセンスの種類と期間を適切にマッチさせ、効果的なライセンス管理を行うことが求められます。

– Oracle Databaseの 「Termライセンス」 の特徴

特徴 説明
期間限定の使用 Termライセンスは、1年から5年の間の期間限定で使用できる。期間終了後、ライセンスは失効する。
コスト効率 一時的なニーズや予算制約のあるプロジェクトに適している。長期的なコミットメントを必要としない。
フレキシビリティ 短期的なビジネス要件やプロジェクトに対応するための柔軟性を提供。期間終了後のライセンスの更新、変更、または終了が可能。
ライセンスオプション Named User PlusやProcessorなど、他のOracleライセンスタイプと同様のオプションが提供される。
サポートとメンテナンス ライセンス期間中は技術サポートやソフトウェアアップデートが含まれることが一般的。

– Oracle Database Termライセンス定価表(1年間)

Oracle エディション ライセンスタイプ 永久使用権の価格 Termライセンス価格 割引率
Enterprise Edition Processor ¥6,650,000 ¥1,330,000 20%
Enterprise Edition Named User Plus ¥133,000 ¥26,600 20%
Standard Edition 2 Processor ¥2,450,000 ¥490,000 20%
Standard Edition 2 Named User Plus ¥49,000 ¥9,800 20%

※ 注意点 : Termライセンスの保守費用が永久使用権の保守費用と同額であること

■ オンプレミスのOracle Databaseのライセンス種類ごとの比較

エディション ライセンス種類 ライセンス本体価格 年間保守価格 課金基準 最小ライセンス数
Standard Edition 2 Named User Plus 49,000円 10,780円 ユーザー数に基づく サーバごとに10ユーザー
Standard Edition 2 Processor 2,450,000円 539,000円 CPUソケット数に基づく
Enterprise Edition Named User Plus 133,000円 29,260円 ユーザー数に基づく CPU数(コア係数を適用)ごとに25ユーザー
Enterprise Edition Processor 6,650,000円 1,463,000円 CPUコア数×コア係数に基づく

※ 注意点

  • Processorライセンスの場合、Enterprise EditionではCPUコア数にコア係数を適用してライセンス数を計算します。例えば、8コアのIntel Xeonプロセッサの場合は、4つのProcessorライセンスが必要です(8コア × 0.5コア係数)。
  • Named User Plusライセンスの場合、最小ライセンス数が存在します。例えば、Enterprise Editionで8コアのIntel Xeonプロセッサを使用する場合、最小100ライセンスが必要です(8コア × 0.5コア係数 × 25ユーザー)。
    ※ Oracle Databaseのオンプレミスライセンスの概算価格を示しており、実際の価格は購入時の条件や地域によって異なる可能性があります。また、Oracleのライセンスポリシーは変更されることがあるため、最新の情報をOracle公式サイトや販売代理店で確認することをお勧めします。

– Oracle Databaseの各製品に対する最低ライセンス数

製品 Processor ライセンス 最低数 Named User Plus ライセンス 最低ユーザー数
Oracle Database Enterprise Edition 1 25ユーザー
Oracle Database Personal Edition なし(※1) 1ユーザー
Oracle Database Standard Edition 2 1 10ユーザー

※1: Oracle Database Personal EditionにはProcessorライセンスは存在しません。

※ Oracle Databaseの各製品における最低ライセンス数を示しています。
Enterprise Edition、Personal Edition、Standard Edition 2それぞれに対して、
ProcessorライセンスとNamed User Plusライセンスの最低数が異なります。
Oracle Databaseのライセンスを検討する際は、これらの最低ライセンス数を考慮する必要があります。

– Oracle DatabaseのNamed User Plus (NUP) ライセンスカウント方法に関する定義と基準

項目 定義・基準
基本原則 データベースにアクセスする各個別ユーザーやデバイス数に基づいてライセンス数を算出する。
最小ライセンス要件 製品によって異なる最小ユーザー数が設定されている(例:Standard Edition 2は最低10ユーザー)。
直接/間接アクセスユーザー データベースに直接アクセスするユーザーと間接的にアクセスするユーザーの両方をカウントする。
非人間的デバイス システム間自動交換に使用されるデバイスやセンサーもユーザーとしてカウントされる場合がある。
サーバーのプロセッサ影響 特にEnterprise Editionでは、サーバーのプロセッサ数により最小ユーザー数が増加する可能性がある。
使用例 15人のユーザーがデータベースにアクセスする場合、少なくとも15のNUPライセンスが必要。

– Processor定義によるライセンスカウント方法

Oracle DatabaseのProcessorライセンスのカウント方法を表にまとめます。
これは、マルチコアプロセッサが搭載されている場合のライセンス計算方法です。

プロセッサのタイプ コア数 係数 必要なプロセッサライセンス数の計算例
UltraSPARC T1(8コア) 8 0.25 8コア × 1CPU × 0.25 = 2(2プロセッサ分のライセンスが必要)
UltraSPARC T1(4コア) 4 0.25 4コア × 1CPU × 0.25 = 1(1プロセッサ分のライセンスが必要)
AMD Opteron(2コア、2CPU搭載) 2 0.50 2コア × 2CPU × 0.50 = 2(2プロセッサ分のライセンスが必要)
IBM Power6(4コア、2CPU搭載) 4 1.0 4コア × 2CPU × 1.0 = 8(8プロセッサ分のライセンスが必要)

※ 注意点

  • Oracle DatabaseのProcessorライセンスのカウント方法を示す例です。
  • 実際のライセンス計算には、使用するプロセッサの種類とそのコア数、および「Oracle Processor Core Factor Table」に記載されている係数を用いて行います。
  • 小数点以下の端数は切り上げて計算されます。
  • マルチコアプロセッサの場合、総コア数に係数を乗じた数が必要なライセンス数となります。

■ AWS RDS for Oracle 料金比較

【LI】 1 インスタンス x 1.028 USD 毎時 x (100 / 1 か月あたりの使用量 100 個) x 730 時間 1 か月あたり

【BYOL】 1 インスタンス x 0.47 USD 毎時 x (100 / 1 か月あたりの使用量 100 個) x 730 時間 1 か月あたり

■ 実際にOracleライセンスを持って、AWSに切り替えする場合の環境ごと仮想定パターンの料金比較

■ Oracle DatabaseとAWS RDS for Oracleの比較

比較項目 Oracle Database (オンプレミス/クラウド) AWS RDS for Oracle
管理と運用の柔軟性 完全な制御とカスタマイズが可能。 管理の手間が少なく、AWSが多くの運用を担当。
コストと価格モデル ライセンス費用とインフラコストが発生。 利用量に基づく課金モデル。
スケーラビリティ ハードウェアに依存するが、クラウドでは柔軟に拡張可能。 容易なスケーリングとリソース管理。
セキュリティ セキュリティ管理はユーザー責任。 AWSのセキュリティ基準とフレームワークに依存。
バックアップと復旧 ユーザーが管理するバックアップと復旧。 自動バックアップとスナップショットによる簡単な復旧。
コンプライアンス ユーザーのポリシーと基準に基づく。 AWSのコンプライアンスフレームワークに従う。
可用性 自己管理による可用性の設計。 高可用性オプションと自動フェイルオーバー。

※Oracle DatabaseとAWS RDS for Oracleを比較した際の主要な違いを概観します。どちらのオプションを選択するかは、企業のニーズ、技術的な要件、コスト、管理の複雑さなど、多くの要素を考慮する必要があります。AWS RDS for Oracleは管理の手間を減らし、スケーラビリティと高可用性を提供しますが、完全な制御が必要な場合はオンプレミスのOracle Databaseが適しています。
 また、コストと運用の面では、AWS RDS for Oracleの利用量に基づく課金モデルが予算の柔軟性を提供する一方で、Oracle Databaseではライセンスとインフラコストを考慮する必要があります。

■ まとめ

Oracle DatabaseとAWS RDS for Oracleは、それぞれ特有の利点と特徴を持ちます。
企業のニーズ、リソース管理の能力、コスト、運用の複雑性に応じて適切な選択を行うことが重要です。
AWS RDS for Oracleは管理の手間を減らしつつ、スケーラビリティと高可用性を提供しますが、フルコントロールとカスタマイズが必要な場合はオンプレミスまたは自己管理のクラウド環境でのOracle Databaseが適しているかもしれません。

以上、現場からの最新情報でした。
では、また!

Last modified: 2024-01-24

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